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2018年4月から第13次労働災害防止計画が始まります

第13次労働災害防止計画は、2018年度(平成30年度)を
初年度とする5年間を対象としたものです。
この計画は、過労死やメンタルヘルス不調への対策の
重要性が増していることや、就業構造の変化及び労働者の
働き方の多様化を踏まえ、労働災害を少しでも減らし、
安心して健康に働くことができる職場の実現に向けて、
国、事業者、労働者等の関係者が目指す目標や重点的に
取り組むべき事項を定めたものです。

第13次労働災害防止計画が目指す社会
「一人の被災者も出さないという基本理念の下、働く方々の
一人一人がより良い将来の展望を持ち得るような社会」

働く方々の一人一人がかけがえのない存在であり、
それぞれの事業場において、日々の仕事が安全で健康的なもの
となるよう、不断の努力が必要です。
また、一人一人の意思や能力、そして置かれた個々の事情に応じた、
多様で柔軟な働き方を選択する社会への移行が進んでいく中で、
従来からある単線型のキャリアパスを前提とした働き方だけでなく、
正規・非正規といった雇用形態の違いにかかわらず、副業・兼業、
個人請負といった働き方においても、安全や健康が確保されなけ
ればなりません。
さらに、就業構造の変化等に対応し、高年齢労働者、非正規雇用
労働者、外国人労働者、障害者である労働者の安全と健康の確保
を当然のこととして受け入れていく社会を実現しなければなりません。

■計画の目標
全体
死亡災害:15%以上減少 死傷災害:5%以上減少

業種別
建設業、製造業、林業 : 死亡災害を15%以上減少
陸上貨物運送事業、小売業、社会福祉施設、
飲食店 :死傷災害を死傷年千人率で5%以上減少

その他目標
○仕事上の不安・悩み・ストレスについて、職場に事業場外
資源を含めた相談先がある労働者の割合を90%以上(71.2%:2016年)
○メンタルヘルス対策に取り組んでいる事業場の割合を80%以上
(56.6%: 2016年)
○ストレスチェック結果を集団分析し、その結果を活用した
事業場の割合を60%以上(37.1%: 2016年)
○化学品の分類及び表示に関する世界調和システム(GHS)による
分類の結果、危険有害性を有するとされる全ての化学物質について、
ラベル表示と安全データシート(SDS)の交付を行っている化学物
質譲渡・提供者の割合を80%以上(ラベル表示60.0%、SDS交付
51.6%: 2016年)
○第三次産業及び陸上貨物運送事業の腰痛による死傷者数を2017年
と比較して、2022年までに死傷年千人率で5%以上減少
○職場での熱中症による死亡者数を2013年から2017年までの5年間
と比較して、2018年から2022年までの5年間で5%以上減少

■8つの重点事項
(1)死亡災害の撲滅を目指した対策の推進
○建設業における墜落・転落災害等の防止
○製造業における施設、設備、機械等に起因する災害等の防止
○林業における伐木等作業の安全対策 等

(2)過労死等の防止等の労働者の健康確保対策の推進
○労働者の健康確保対策の強化
○過重労働による健康障害防止対策の推進
○職場におけるメンタルヘルス対策等の推進 等

(3)就業構造の変化及び働き方の多様化に対応した対策の推進
○災害の件数が増加傾向にある又は減少がみられない業種等への対応
○高年齢労働者、非正規雇用労働者、外国人労働者及び障害者である
労働者の労働災害の防止 等

(4)疾病を抱える労働者の健康確保対策の推進
○企業における健康確保対策の推進、企業と医療機関の連携の促進
○疾病を抱える労働者を支援する仕組みづくり 等

(5)化学物質等による健康障害防止対策の推進
○化学物質による健康障害防止対策
○石綿による健康障害防止対策
○電離放射線による健康障害防止対策 等

(6)企業・業界単位での安全衛生の取組の強化
○企業のマネジメントへの安全衛生の取込み
○労働安全衛生マネジメントシステムの普及と活用
○企業単位での安全衛生管理体制の推進 等

(7)安全衛生管理組織の強化及び人材育成の推進
○安全衛生専門人材の育成
○労働安全・労働衛生コンサルタント等の事業場外の専門人材の
活用 等

(8)国民全体の安全・健康意識の高揚等
○高校、大学等と連携した安全衛生教育の実施
○科学的根拠、国際動向を踏まえた施策推進 等



賃金等の請求権の消滅時効は延長か現状維持か?検討が続けられる

厚生労働省から、平成30年2月5日に開催された「第2回賃金等請求権の 
消滅時効の在り方に関する検討会」の資料が公表されました。労働基準法 
第115条における賃金等請求権の消滅時効の期間は2年とされていますが、 
平成32年(2020年)4月から、民法の一部改正により、賃金を含む一般 
債権の消滅時効の期間について、複数あった時効の期間が統一され、
「知った時から5年(権利を行使することができる時から10年の間に限 
ります)」とされることになりました。これに伴い、労働基準法に規定 
する賃金等請求権の消滅時効の期間をどうするか?ということで行われ 
ている検討です。


今回の第2回目の検討会では、法曹関係者からのヒアリングなどが
行われました。具体的には、労働者側と使用者側の双方の考え方について
複数の弁護士が意見を述べています。
労働者側は民法に合わせて時効延長、使用者側は現行の労働基準法上の
時効の維持を、それぞれ主張する形になっています。

→ ○ 労働者側に立った意見 ○ 
結論
労働基準法第115条の賃金、災害補償等の請求権について、2年間の
経過で時効消滅するとの規定、及び、労働者災害補償保険法第42条の
療養補償給付や休業補償給付に関する同様の規定は削除し、改正後の
民法を適用すべきである。
【出典 資料3 古川弁護士提出資料より一部抜粋】



→ ○ 使用者側に立った意見 ○ 
労基法は117条以下で罰則規定を置き、賃金(割増賃金)の不払い等
労基法上の労働者の権利の侵害について使用者(これには労働者中の
管理監督者等を含む。10条)に対して刑罰を科すこととしており、
このため労基法等についての基準行政に携わる労働基準監督官は司法
警察職員とされ刑事訴訟法に基づく強力な権限が与えられている。
そして、労働基準監督官は、日常の労働基準行政において、
割増賃金の不払い等の労基法違反行為に対し、それ自体は行政指導で
あって行政処分でないとされるため行政訴訟による不服申立ての対象
外とされる「是正勧告」を発し違反行為の是正を命じることにより速
やかな是正の実現を図っているが、この「是正勧告」によって違反行
為の迅速な是正を図ることができるのは、労基法が刑罰法規であり労
働基準監督官が司法警察職員であるため、「是正勧告」に従わない場
合には刑事手続(検察官送致から刑事裁判・刑罰へとつながる手続)
が想定されることによるからである。
 このような労働基準行政の構造の中で、労基法の時効は、単に民事
上の請求権の行使の時間的限界を画するにとどまらず、労働基準監督
官による労働基準行政の対象事項についての時間的限界、さらには刑
罰法規としての労基法の対象事項の時間的限界の意味を実質的に有し
ているのである。従って、単に民法改正があったからといって、
つまみ食い的に労基法の時効期間を取り出してその変更を検討するの
は失当であり、仮に労基法の時効期間の変更を検討するのであれば、
そもそもの労基法の刑罰法規性の見直し、労基法の刑罰法規性を前提
とした労働基準行政のあり方の見直し等の検討からまず先に行う必要
がある。
(結論)
現行の労基法の時効を変更する必要はない。
【出典 資料4 経営法曹会議提出資料より一部抜粋】



なお、現行の労働基準法第115条では、「賃金(退職手当を除く)、
災害補償その他の請求権は2年」、「退職手当の請求権は5年」の
消滅時効が定められていますが、ここでいう「その他」の請求権には、
年次有給休暇の請求権も含むこととされています。
そのため、年次有給休暇の請求権の時効をどうするか?といった
論点も生じています。

仮に、年休の時効の期間が5年となり、年休が5年前の分まで繰り
越されるとした場合、労働者は、理論上は、最大で1年度に100日の
年休の権利を行使できることが可能となります。100日は極端なケース
ですが、毎年度5日の未消化分がある場合で考えても、「その年度の
年休の日数+20日(5日×4年分)」の年休の権利を行使できること
になり、企業にとって大きな負担になることは想像に難くないでしょう。
もしそうなった場合、年休の消化率が低ければ、退職前にまとめて
年休を消化する期間も長くなることになります。

その他、時効の期間の起算点や書類の保存期間との関係なども
論点となっています。今後も幾度か検討を重ね、
平成30年夏を目途に検討結果の取りまとめが行われることに
なっています。



平成30年度雇用保険率、据置きを決定!

平成30年度の雇用保険率が、正式に官報に告示されました。(平成30年1月30日付) 

厚生労働省が既に公表していた内容ですが、
下記リーフレットを参考にしてください。


<平成30年度の雇用保険料率について平成29年度から変更ありません>
http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11600000-Shokugyouanteikyoku/0000192647.pdfLink  



平成30年1月1日施行の職業安定法改正のポイント

平成29年3月31日に成立した改正職業安定法が、平成29年4月1日、 
平成30年1月1日、そして「公布の日から起算して3年を超えない 
範囲内において政令で定める日」において、それぞれ段階的に
施行されています。
その中でも、本年、平成30年1月1日の施行内容については、
企業が労働者募集をする際に対応すべき事項が多く含まれて
おりますので確実に理解しておく必要があります。

今回の主な改正のポイントは、下記の4項目です。
本年1月以降の求人で必ず対応すべき重要事項ばかりですので、
年内に社内の業務マニュアルや諸書式の見直しをされておくこと
をおすすめします。

1.募集~労働契約締結の間に労働条件に変更があった場合の、
速やかな変更内容明示

ハローワーク等への求人、または自社で労働者の募集を行う際、
当初明示した労働条件を変更する場合には、その内容を確定後
速やかに明示しなければなりません。

2.労働条件変更時の適切な変更内容明示方法
労働条件の変更は下記の場合に、当初の明示と変更された後の
内容を対照できる書面を交付する方法によって速やかに明示
されるべきとなっています。
※労働条件通知書において、変更された事項に下線を引いたり
着色したりする方法や、脚注を付ける方法での通知も可能です。

・「当初の明示」と異なる内容の労働条件を提示する場合
例)当初:基本給28万円/月⇒基本給25万円/月

・「当初の明示」の範囲内で特定された労働条件を提示する場合
例)当初:基本給25万円~30万円/月⇒基本給28万円/月

・「当初の明示」で明示していた労働条件を削除する場合
例)当初:基本給23万円/月、営業手当2万円/月⇒基本給25万円/月

・「当初の明示」で明示していなかった労働条件を新たに提示する場合
例)当初:基本給25万円/月⇒基本給23万円/月、営業手当2万円/月

3.求人の際に明示すべき労働条件の追加
労働者を募集する際に明示すべき労働条件に、下記が追加されました。
・試用期間の有無/期間
・裁量労働制を採用している場合のみなし労働時間
・固定残業代を支給している場合の「金額」「手当が時間外労働何時間
相当のものか」「○時間を超える時間外労働分の割増賃金を追加で支給する旨」の明示
・募集者の氏名又は名称
・派遣労働者として雇用する場合、雇用形態を「派遣労働者」と明示

4.職業安定法に基づく指針等の遵守
労働者条件の明示にあたり、職業安定法に基づく指針等を理解し、従うこと。

参照:厚生労働省「職業紹介事業者、労働者の募集を行う者、
募集受託者、労働者供給事業者等が均等待遇、労働条件等の明示、
求職者等の個人情報の取扱い、職業紹介事業者の責務、募集内容の
的確な表示等に関して適切に対処するための指針」
http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11600000-Shokugyouanteikyoku/0000139950_1.pdfLink

平成30年1月1日施行の改正職業安定法の各項目については、
下記リーフレットより確認することができます。

参照:厚生労働省「労働者を募集する企業の皆様へ~労働者の募集や求人申込みの制度が変わります~」
http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11600000-Shokugyouanteikyoku/0000171017_1.pdfLink

詳しくは下記参照先をご覧ください。
参照ホームページ [ 厚生労働省 ]
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000172497.htmlLink



平成29年度に正社員の平均賃金を「引き上げる」企業は66%

経済産業省が発表した「中小企業の雇用状況に関する調査」の結果 
(有効回答数8310社)によりますと、正社員の1人当たり平均 
賃金の引上げについて、「引き上げる/引き上げた」と回答した 
企業の割合は、平成28年度は59.0%、平成29年度は66.1% 
となっています。賃金の引上げ方法として月例給与の引上げを実施
した企業の割合は、平成28年度が91.3%、平成29年度は
92.0%でした。

平均賃金を「引き上げる/引き上げた」と回答した企業の理由で
最も多かったのは「人材の採用・従業員の引き留めの必要性」で、
平成28年度は45.5%、平成29年度は49.2%です。なお、 
平均賃金を「引き上げない/引き上げていない」とした企業の
理由は、平成28、29年度ともに「業績回復・向上が不十分」が
最多で、賃上げを実施していない企業では、業績が低迷している 
ことが賃上げを妨げている状況がうかがえます。

非正規雇用の労働者の賃金の状況については、「賃金引上げを
実施した/実施する予定」と回答した企業の割合は、平成28年度
は32.9%、平成29年度は36.5%となっています。
非正規雇用の労働者の1人当たり平均賃金を「引き上げる/引き 
上げた」と回答した企業の理由としては、「人材の採用・従業員 
の引き留めの必要性」(29年度47.0%)や、「最低賃金引上
げのため」(同38.3%)とした企業が多数でした。

一方、人員計画については、「人手不足・人材不足」を感じている
と回答した割合は、合計で66.4%。人手不足・人材不足と回答
した企業のうち、74.5%が「正社員の非管理職」、29.1%
が「管理職」が不足と回答。「人手不足・人材不足」を感じている
と回答した企業のうち、正社員・非正社員の直近1年の採用活動の
結果、「採用できている」と回答した企業は、正社員が50.2%、
非正社員が33.3%にとどまっています。

時間外労働の新たな上限規制については、本調査以前から「内容含
め知っていた」との回答割合は47.1%。また、その対応について、
「対応できる見込み」との回答割合は33.8%であり、その理由と
して、「業務プロセスの改善」により対応できるとした企業が最も多く、
47.5%となっています。一方で、「対応が困難な見込み」とした
企業は17.0%で、その理由として、「人員不足」を挙げた企業が
最も多く、61.2%でした。

参考:経済産業省 中小企業の雇用状況に関する調査集計結果